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68年〜71年のスティービー・ワンダーが最高に良い(その4)

 
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ロブ
ギタリスト、コンポーザー。Pick Hits Records 代表。都内を中心に音楽活動中。 こよなく音楽を愛し、70’sソウル、ロックを中心に幅広く聴きます。大のカレー好き。Twitterにてブログ更新情報を発信しています。 参加バンド: Rob&Cats, グッバイボーイズ,フジモトエリ+khaki’s, 弦内 etc.

68〜71年のスティービーについて語ってきましたが、今回で最終回。71年発表の『Where I’m Coming From』をご紹介したいと思います。邦題は『青春の軌跡』。良いタイトルですね(笑)

前作に引き続き本作もスティービーによる完全プロデュース。そして何と言っても、全曲、スティービーとシリータ・ライトの共作というのが大きな特徴です。

前年から共同制作をしていたシリータですが、2人は1970年に結婚。しかし、1972年には離婚されているようです。

離婚後も音楽的パートナーとしての関係は続いていたようで、スティービーがシリータのソロアルバムをプロデュースしていたり、その後のスティービーのアルバムの中にもシリータが共作者でクレジットされているのをみることが出来ます。

今回取り上げる『Where I’m Coming From』は、短い結婚生活中に書かれたものと思われますが、どれも素晴らしい作品。サウンド面でも大きな変化を遂げ、ニューソウル時代の幕開けを感じる本作、中身を見ていきましょう。

Where I’m Coming From(1971)

このアルバムでは、サウンド面、曲の内容面ともに大きな変革を遂げています。それは1曲目の「Look Around」を聴いてもらえば明らかに今までと違うのはお分かりでしょう。

まずとても暗い(笑)それまでにないような内向的な詩の世界。そして、今までの華やかで躍動的なモータウンサウンドはどこにもありません。よくこの曲を1曲目に持ってくることをモータウンが許したなと思えますが、このアルバムの制作にあたっては一切の干渉を受けないという契約をモータウンレコードと結んだとされています。そこからもスティービーのこのアルバムに対する意気込みが感じられます。

もちろん時代的な背景もあったのかもしれません。公民権運動が盛り上がる中、同じモータウンのマービン・ゲイも同年、『What’s Going On』で混迷するアメリカについて歌い、カーティスもソロ活動を開始しオピニオン・リーダーとしての役割を果たす中、スティービーも自由な表現をしたいと望むことは自然な流れだったように思います。

続く「Do Yourself A Favor」。前作からクラビネットをフィーチャーしたファンクナンバーを聴くことができましたが、更にそれを推し進めた作品。

次作以降、アナログシンセサイザーなど、鍵盤楽器の新しい可能性を広げていったスティービーですが、この曲ではクラビネットを完全にギターカッティングの代わりとして使用。ギターの空ピックのニュアンスまで見事に再現されています。

今後のスティービーの楽曲の特徴として、「I wish」などに代表されるような、いくつものフレーズを積み重ねてトラックを作るというものがありますが、この曲でも既にその片鱗が見られます。

「Think Of Me As Your Soldier」は隠れた名バラード。ベスト盤に入ることもないため、あまり知られていないかもしれませんが、自分にとってはこの時期の「My Cherie Amour」や「Angie Girl」と並ぶほどの名曲と思います。

そして何と言っても「If You Really Love Me」。この時期のスティービー&シリータの共作活動が生み出した傑作。

名曲とはイントロを聴いただけで、それとわかってしまうものですが、この曲もまさにそんな期待感と共に始まる曲。

曲自体は2つのパートからなるごくシンプルなものでありながら、各パートで曲調、テンポが変わるというユニークな構成だったり、サビでのスティービーとシリータが掛け合いなど、アイデアが詰まった作品でもあります。最後にシリータがシャウトするところ、いつ聴いても胸が熱くなります。

そして7分に及ぶ大作「Sunshine In Their Eyes」で幕を閉じます。今までのモータウンでは許されなかったであろうこの曲。まさにニューソウル時代の幕開けを感じる1曲です。

複数の曲が組み合わされた、組曲的な構成。その後のアルバムでも、例えば『Talking Book』に収録の「Blame It On The Sun」など、複数の曲を組み合わせるという手法はしばしば登場することになりますが、そのスタイルは既にこの曲で確立されているようです。

美しいピアノとストリングスをバックに歌い出し、そこにドラムがインしてくる部分にゾクッとしてしまいます。その後、子供達のコーラスを入れたり、シリータが登場するパートがあったりと、息もつかせぬ展開で、7分という長さを全く感じません。

聴き終えた後にため息が出るような、なんとも美しい曲。ビートルズの『Abbey Load』B面のメドレーを聴き終えた後のような感覚。規格外、型破りなスティービーがここに誕生します。

アルバム『青春の軌跡/Stevie Wonder』

68年〜71年のスティービー・ワンダーが最高!ということで、4回にわたり4作品をご紹介してきました。如何でしたでしょうか?

古き良きモータウンサウンドとスティービーのオリジナリティの融合、そして、アルバム毎に変化していくサウンドを感じていただけたのではないでしょうか。しかし、この時点でスティービーはまだ20歳。なんとも恐るべしです…。

この翌年のアルバム『Music Of My Mind』から、本格的にシンセサウンドを取り入れ、有名な『Talking Book』からの3部作へと続いていくことになりますが、そこに至るまでの過程を聴いていただけると、より一層その後のアルバムも楽しめるのではないかと思います。

68年〜71年のスティービー・ワンダーが最高に良い(その3)

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ギタリスト、コンポーザー。Pick Hits Records 代表。都内を中心に音楽活動中。 こよなく音楽を愛し、70’sソウル、ロックを中心に幅広く聴きます。大のカレー好き。Twitterにてブログ更新情報を発信しています。 参加バンド: Rob&Cats, グッバイボーイズ,フジモトエリ+khaki’s, 弦内 etc.

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